医師インタビュー

婦人科 手術実績と婦人科検診の勧め DOCTOR’S INTERVIEW 婦人科 手術実績と婦人科検診の勧め DOCTOR’S INTERVIEW

DOCTOR
PROFILE
副院長/婦人科 部長 藪下 廣光 HIROMITSU YABUSHITA
出身大学 |
  • 愛知医科大学医学部 卒業
資格など |
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/
    指導医
  • 日本婦人科腫瘍学会
    婦人科腫瘍専門医/指導医
  • 日本がん治療認定医機構
    がん治療認定医
  • 緩和ケア研修会修了
  • 臨床研修指導医

婦人科疾患の手術にはどのような種類がありますか?

手術の方法で開腹手術、腹腔鏡手術、膣式手術、子宮鏡手術などがあります。当院婦人科では、2021年に260件の手術を行いました。
開腹手術は主に悪性腫瘍に対して38件行われ、その内訳は子宮悪性腫瘍手術20件、子宮付属器悪性腫瘍手術4件、子宮全摘術8件、付属器摘出術6件です。
腹腔鏡手術は良性疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、卵巣腫瘍、骨盤臓器脱)に対して126件行われ、その内訳は子宮全摘術42件、付属器腫瘍摘出術44件、筋腫核出術8件、膣仙骨固定術32件です。
膣式手術は73件行われ、そのうち63件は子宮頸部高度異形成・上皮内がんに対して行われた子宮頸部円錐切除術です。
子宮鏡手術は子宮筋腫や子宮内膜ポリープに対して28件行われました。
当院の手術内容の特長は、全体の6割に腹腔鏡手術や子宮鏡手術といった侵襲の少ない内視鏡手術が行われ、特に骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下膣仙骨固定術が多数行われていることです。

子宮頸がんの検査方法は?要精密検査になった場合はどうすればいいですか?

子宮頸がん検診は、厚生労働省が「がん検診の効果が科学的に証明されている」として推奨する検診の1つです。
子宮頸部の発がんは、正常から段階的に軽度扁平上皮内病変(異形成)、高度扁平上皮内病変(上皮内がん)といった前がん病変を経て浸潤がんに至る過程をたどります。軽度扁平上皮内病変のごく一部が数年以上経過しがんに至ります。

子宮頸がんの検査方法

子宮頸がん検診は、子宮の入り口付近をブラシなどで擦って細胞を集め、顕微鏡でがん細胞や前がん病変の細胞を見つける細胞診検査です。細胞診検査の結果、前がん病変やがんの疑いがある場合には要精密検査と通知されます。

検診で要精密検査になった場合

専門の施設でコルポスコピーという拡大鏡で病変部を観察しながら子宮頸部の組織を米粒の半分ほど採取(生検)し、顕微鏡で検査する病理組織検査を行い、異形成や上皮内がん、または浸潤がんであるかどうかの診断を行います。検診の細胞診の結果によっては、HPV(ヒトパピローマウイルス)検査を行う場合もあります。

子宮頸がんは、早期発見早期治療で治癒率が高い病気です。

子宮頸がんは、早期に治療すれば治癒率が高く、子宮を温存できる可能性も十分あります。
子宮頸がんの予防には、HPVワクチンによる一次予防がまず大切であり、
次に子宮頸がん検診で早期発見し、早期治療を受けること(二次予防)が重要です。