医師インタビュー

外科 苦痛を軽減する腹腔鏡手術 DOCTOR’S INTERVIEW 外科 苦痛を軽減する腹腔鏡手術 DOCTOR’S INTERVIEW

DOCTOR
PROFILE
副院長/外科 部長 加藤 浩樹 HIROKI KATO
出身大学 |
  • 岐阜大学医学部 卒業
資格など |
  • 日本外科学会 認定医/専門医/指導医
  • 日本消化器外科学会
    消化器外科認定医/
    専門医/指導医
  • 日本消化器外科学会
    消化器がん外科治療認定医
  • 日本がん治療認定医機構
    がん治療認定医/
    暫定教育医
  • ICD(インフェクションコントロールドクター)
  • 検診マンモグラフィ 読影医
  • 日本臨床外科学会 評議員
  • 東海外科学会 評議員
  • 臨床研修指導医

腹腔鏡手術とはどんな手術ですか?

これまでの開腹手術では20~30cmの長さの傷で大きくお腹を切り開いて手術を行っていました。それに比べ「腹腔鏡手術」では、お腹の数か所に3mmから12mm程度の小さな穴を開け、そこからポートという筒状の装具を挿入し、ポートから腹腔鏡や操作鉗子といった棒状の細い器具を挿入して手術を行います。腹腔鏡は先端がカメラになっており、モニター画面に腹腔内を映像として映し出し、その画面を見ながら他のポートから挿入した数本(通常は2~4本)の操作鉗子を用いて手術を行います。

腹腔鏡手術を行うメリットはどんなことですか?

腹腔鏡手術と開腹手術との違いは第一に傷の大きさです。傷が小さいために美容的に優れていますし、術後の創痛が軽くなり患者さんの苦痛が大きく軽減されます。創痛が軽いと早期の離床が可能となり、心肺機能にも良い影響を及ぼし、ひいては術後の早期回復・退院に繋がります。
腹腔鏡が早期回復に寄与する理由として、開腹手術のように臓器を手で触ることがないこと、さらに臓器が空気に直接触れないため、手術が長時間になっても臓器が乾燥によるダメージを受けないことが考えられます。接触や乾燥によりダメージを受けた臓器は術後一旦浮腫の状態となり、その後、数日をかけて回復していきますが、回復までの期間、腸管麻痺を起こしたり循環動態に負荷を与えたりします。美容的なことよりも、臓器や全身状態に対するダメージが少ないことが腹腔鏡手術の真のメリットであると言えます。

腹腔鏡手術の対象疾患と早期に受診した方が良い症状は?

腹腔鏡手術の対象疾患

現在では、手術を要するほとんどの腹部疾患が腹腔鏡手術の対象となっています。
具体的には胃癌、大腸癌などの悪性疾患、胆石症、ヘルニア、虫垂炎などが対象となりますが、
さらに腸閉塞、消化管穿孔といった救急疾患にも行う機会が増えてきています。

早期に受診を要する症状

腹部疾患で早期に受診を要する症状として、
吐血・下血(血便)、便秘と下痢を繰り返す、食欲低下、体重減少、腹痛の継続などの
症状がみられる場合には癌などの悪性疾患の可能性あります。
激しい腹痛、嘔吐、発熱などの症状を認める場合には
胆嚢炎、虫垂炎、腸閉塞、消化管穿孔などの急性疾患の可能性があります。